- ──まず始めに吉田建材の業務内容を教えて下さい。
-
当社では建設会社様の要請を受け、様々なビルや橋桁、港湾などの建設現場へ向け生コンクリートを製造してお届けするという業務を行っています。建築の世界に詳しくない人が「コンクリート作りの仕事」と聞くと、街中を走るミキサー車をイメージするかもしれませんが、実際にはコンクリートの原材料から生コンクリートを作って車に入れ、工事現場に運び、基礎部分に流し込んで固めるまでが1つの仕事です。最近の例では、大手町の再開発エリアや虎ノ門エリア、少し前の例だと、豊洲市場の現場などにも生コンを卸していました。
生コンは、セメントに水や砂利、砂、混和剤を混ぜて造られるのですが、全ての現場が同じ生コンを使用しているわけではありません。現場によって要求されるコンクリートの硬さや品質がそれぞれ違います。
また使われているセメントの種類によって、生コンにもそれぞれ特色が表れます。一般的に使われているのはNセメント(普通ポルトランドセメント)と言われるもので、その次に多いのがMセメント(中庸熱ポルトランドセメント)です。大きい部材にNセメントを使ってしまうと、そのセメント自体が固まる時に発する熱で、ひび割れが起こってしまうことがあります。そのため、ダムや橋桁、大きな壁といった大規模な構造物をつくる際には、ひび割れが起こりづらいMセメントを使用することが多いです。
- ──現在担当されているお仕事内容はどのようなものですか?
-
工場勤務と言いながらも、納入現場で品質管理をする細かい仕事がメインになります。品質検査と合否判定は中立的な第三者機関が行うのですが、その合否判定に立ち会い、コンクリートがどういった状態なのかを自分の目で確認し、その結果を受けて工場へフィードバックを行うのが、私たち現場職員の仕事です。
何もなければ毎日同じ作業の繰り返しなんですけど、実際には同じ条件で、同じ材料で、同じ水の量で練ったとしても、全く違った試験結果になる場合が多くあるんです。コンクリートは現場に運んでいる最中にも硬くなりますから、日によっては太陽が出ていたりとか、気温が高かったりとか、全く同じ条件というものは一つもないので。場合によっては現場にとって良くない品質の生コンが行ってしまうこともあるんですけれど、その後どうやって良い品質に近づけるか。すぐに最適な判断をするために考えて、工場の方にフィードバックをしなければならない。そういった積み重ねが生きてくる仕事だと思います。
現代の建物は100年以上持つ前提で作られているものが多いので、少し強度が違うだけでも、100年経たないうちに壊れてしまう可能性があります。そういったことが決して無いよう、コンクリートは毎日シビアに確認しないといけないんです。
- ──現場での心構えや、意識している事はありますか?
-
例えば、到着する時間を考えて良い品質の生コンを出したとしても、渋滞で現場到着が遅れてしまう場合もあるので、納入先には「どうして遅れたかのか」をきちんと的確に伝え、2台目・3台目は早めに出したりすることで、トラブル回避に繋げています。
逆に、予定どおりに納入できたとしても、現場の作業が始まっていないということもあるんですよね。こうした場合は、デリバリーさんや、現場監督さんと話をして、あとどれくらいで作業が始まるのかをしっかり確認する必要があります。作業が全然始まらないのであれば車を止めないと、出荷した生コンが全てダメになってしまうので、コミュニケーション能力は結構大事ですね。
現場はできるだけコンクリートの打設を止めたくないのですが、こちらとしては確認を何度もして、最高の品質のものを出したい。また、1回1回試験が遅いと時間がかかってしまうので、スピード感が必要になってきます。検査の精度と早さを上げ、職人としての目を養うためにも、現場での経験が重要です。現場にとって一番良いものを作るために、「常に考え続けなければならない」仕事ですね。
だからこそ、試験に行ってとても良い生コンを納入できたな、と思えた時や、その建物が出来上がった時はやっぱり嬉しいし、感慨深いものがあります。自分たちが忙しくても、現場にとって一番良い品質のものを出したいので、自分たちよりもその納入先のお客さんのことを第一に考える、そういう考え方が重要だと思います。
- ──吉田建材の魅力について教えてください。
-
上の方たちがとても良く話を聞いてくれます。改善点とか、こうした方が良いとか、現場での小さな気づきとかがあるんですけど、そういったものをすぐ汲み取ってくれますね。「絶対ダメ」とかは言われないので、自由にやらせてもらえるし、良いものはどんどん吸収して進化していくような会社だと思います。
例えば、空調服という小型ファンを内蔵した作業着があるんですけれど、豊洲市場の仕事をしていた頃、現場はすごく暑かったんです。熱中症でみんな倒れそうになりながら試験をしていたんですが、これは現場に出ている人にしか分からないんですよ。ずっと日陰が無い状態で試験をし続けていたので、空調服というものがありまして、と言ったらすぐに買ってもらえました。
現場に出ると、暑いとか、寒いとか、そういったことはどうしても経験することになると思うので、決して楽な仕事とは言えないんですけど、ひとつひとつ新しい仕事を覚えていくことが楽しいと思える方には、達成感のある仕事だと思います。また、新しく覚えた仕事を自分なりにどんどん効率よく改善していけば、それが認められるような社風なので、改善が得意な方にはとても合う会社なのかなって思います。
現場の方からも、吉田建材が打設するから大丈夫と言ってもらえることも多いので、現場での信頼は高いと思います。あと、ミキサー車の運転手さんには結構古くから車に乗っていらっしゃる方が多くて、現場に行く時も「ここの現場うちでやったんだよ」「このビルもやった」「あのビルもやった」という話を聞くと、地震などが起こっても壊れずに建っている、そういったものを作っていたんだな、って思うと、尊敬というか、自分も頑張ろうという気持ちになりますね。